【おかえりモネ】11話|百音()の帰省だけの回が魅力的な理由とは?
朝ドラ【おかえりモネ】第3週第11話が2021年5月31日(月)に放送されました。
天気の勉強をはじめた百音(清原果耶)は、夏、祖母・雅代(竹下景子)の初盆に合わせて故郷・亀島の実家へ帰省。ただそれだけの展開なのにとても魅力的な回で…
今回は【おかえりモネ】11話について。
【おかえりモネ】の配信情報
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【おかえりモネ】11話の番組内容
百音(清原果耶)は気象キャスター・朝岡(西島秀俊)に出会ったことで、気象予報士の資格に興味を持った。
2014年5月27日(火)昼12時ごろ、本屋へ行った百音は「あまんたも受かる!気象予報士試験」を買った。2160円もした。森林組合の仕事にも関わる本「次世代の林業~持続可能な社会を目指して~」(864円)も購入。
2冊合計3024円で「図書館で借りればよかったかな」とも思うが、気象予報士の本をもう一度手に取ると思わず笑みがこぼれる。
家に戻り、一般知識編だからわかるだろうと思って本を開いたが、ずらりとならぶ専門用語に腰がひけて本を閉じる。「わかりそうなところ」からと思い、再び開いて、海風・陸風・海陸風という現象を説明する箇所を読む。
「海風…海面は熱を吸収しても熱伝導によって拡散されたり海水が上下に混ざり合うことにより温度の 日変化量は2℃以下…海岸線付近では気圧傾度が大きくなり 日中は海風 夜間は陸風という現象が起き この風向きの変化を海陸風と呼びます」
百音は読んでみたが、なかなか内容が難しく苦悶の表情に。
けれど、百音はあきらめない。実際の空を見上げて、雲を写真に撮る。帰ってから雲の名前を確かめるために。プリンターで印刷して「積雲」「雄大積雲」など、写真に書いてボードに貼っていく。具体的な写真とともに知識を深めていく。
2014年7月。百音は初任給を手渡しでもらった。夜、お祝いにサヤカ(夏木マリ)とうな重を食べる。給料で家賃・食費も払うという百音。「当面3万円でいい」というサヤカに、百音は感謝した。サヤカは百音の祖母・雅代(竹下景子)の初盆に合わせて亀島の実家へ帰省するよう伝える。
百音の帰省の日、職場に併設のカフェの常連客から野菜や料理をたくさん受け取る百音。かぼちゃを転がしてしまったが、菅波(坂口健太郎)に拾ってもらった。拾ったのは何度目かなので嫌みを言われる。
常連客からスイカを投げられた菅波はキャッチし損ねて、百音が受け取る。菅波は空間認識能力がないとごまかした。
帰省を「いいですね」という菅波。百音は彼の珍しい言葉に驚いた。
菅波:社会人1年目の若者が お土産いっぱい抱えて地元に帰るんですよ? そんなハートウォーミングな案件クサしてたら こっちが悪者になる。(クサす=腐す:悪くいう、けなすこと)
百音:先生 面白いですね
菅波:ぬるま湯につかり過ぎると 仕事に戻れなくなりますから その辺は気を付けて
百音:はい…
菅波:意外と帰りたくないとか?
百音:何でですか?
菅波:地元が居心地がいいとも限らないでしょ?
百音:家族には会いたいです。あっ いえ…
菅波:まあ せいぜい甘やかされてきてください
サヤカに送ってもらい、百音はバス停までやってきた。
ナレーション:3年前、大きな被害を受けた沿岸部の鉄道は、復旧までの間の市民の交通手段として、このBRTというバスによる代替運行を開始しました。この桃津駅は、ちょうど鉄道からBRTにかわる駅で終点が気仙沼です。1時間半は少~し長いけど、山と海はつながっているのです。
BRTのバス車内に、組手什(くでじゅう)を持ち込む。乗客とも仲良く話す百音。戸倉の家が流されたけど畑があるためトマトやキュウリなどの夏野菜を収穫にいくという。百音は「おじいちゃんの牡蠣を食べたい」ともらす。(※戸倉は、南三陸町戸倉のこと。内陸の登米から→南三陸町→気仙沼の順で東へ向かう)
トンネルを抜け、海が見える。百音はやや暗い表情になる。
港に着くと、携帯電話が鳴る。「おねーちゃんお帰り!」と未知(蒔田彩珠)の声。未知と父・耕治()や船から手を振っていた。
2人の出迎えを受け、百音は笑顔に。未知は夏休みだが水産試験場へ行くらしい。耕治は出勤だろう。早く帰るから、と嬉しそうな父。百音は2人と入れ替わりで島へ行く船へ急いだ。
船内にて。海の匂いを懐かしそうにかぐ百音。自宅に戻ると、母・亜哉子()に歓迎された。
百音は「ただいま おばあちゃん」と仏壇に声をかける。
ナレーション:おかえり。よく帰ってきたわね。
(つづく)
【おかえりモネ】11話の感想
百音(清原果耶)の帰省だけの回が魅力的な理由
11話は、百音(清原果耶)が気仙沼・亀島に帰省するまでのストーリー。すごく丁寧に風景や、地域の人々との会話も交えて、ゆったり描きました。
ただの帰省。ヒロインが仕事先の登米を出て、亀島の家に戻るまでの、ただの帰省。
なので、一見するとすごく地味。
ですが、とても引き込まれてしまいます。その理由はいくつかあります…
ひとつは風景など五感を刺激する演出。トンネルを抜けたあとの海、空。船に乗った時の風、海の匂い、音。視覚と嗅覚・聴覚に訴えています。
常連客がふるまう食べ物、夏野菜・牡蠣の話しなども五感のうちの味覚を刺激しますね。(あとは触覚ですが、それは感じられません 笑)
あと、郷愁も誘います。(故郷を離れている人が故郷を懐かしく感じる気持ちを誘発します)
未知・耕治が船の上から呼びかけるシーン。撮影をそんなにやり直せないから大変そうです(別撮りでもできますけど)未知・耕治・亜哉子の喜びようが、視聴していてとても嬉しくなりました。
タイトルが「おかえりモネ」とあるように、本作はモネこと百音が自立して活躍後、故郷へ戻る物語です。だから、また帰ってくるときがきます。そのときは、故郷の役に立つために。成長した姿で。
きっと、成長して故郷へ戻るときには(喜びとつらさの複雑な心境が同居する)第11話の帰省とは違った表情を、清原果耶さんがしてくれるはず。楽しみです。
その意味で、11話の帰省は今後の伏線として注目です。
清原果耶さんの一瞬の表情をカメラが捉える演出の本作。11話は顕著だったように思います。百音が資格試験の本を手にした時の表情、勉強しているときの表情、バスでの表情、船の上での表情、など。
家事とのながら見では、つまりセリフだけでは分からない演出になっていますね。そこも11話の魅力なので、画面に注目して楽しんでほしい回です。
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画像出典:NHK