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クルミットです♪
謀略で喜隱を流刑に追いやった罨撒葛は、徳譲と燕燕の流言を流して明扆の勢力を削ごうとし、とうとう実力行使で簒奪に及びます。しかし罨撒葛と女里・高勲の一味の謀反は失敗に終わり、結局喜隱は上京に戻されることに。
今回は、罨撒葛の謀反失敗から11年経った遼が描かれます。罨撒葛の死によって鎮静化し、明扆とそれを支える摂政皇后・燕燕は安定した治世を築いてきたように見えます。しかし11年の歳月が人々の心にもたらす変化は決して小さくはないようです。人々の中に積み重なった澱が、遼の進む道をどう歪めていくのか、しっかり見守っていきましょう♪
【燕雲台-The Legend of Empress-】(ネタバレあり)
第34話「去りゆく人々」
燕燕は罨撒葛の葬儀に訪れ、胡輦を皇太妃に封じて国阿輦斡魯朶を託すことを伝え、今後の再婚を促す。しかし胡輦は、これからは自分のために生きたいと言う。徳譲は幽州に去る意志を明扆と燕燕に伝え、燕燕は難色を示すが、明扆は理解を示す。安只の死から只没はやつれ、「余生は仏に仕えたい」と明扆の心配も拒む。胡輦は北方に旅立ち、徳譲と李思もまた幽州に。燕燕は一夜にして上京が空になってしまったような寂しさをかみしめる。
漢人は「二夫にまみえず」の傾向が強いですが、契丹はそうではないようですね
それから11年。皇子・文殊奴は成長し、その下に観音女という娘も生まれ、さらに燕燕は第三子を妊娠中だった。明扆は「再生儀」という、12年に1度行われる皇帝の再生を祝う儀式で健康を祈り、皇族・朝臣の協力もあって治世は比較的安定していた。
趙王府では留礼寿が成長していたが、喜隱は酔って明扆への不満を募らせるばかりだった。
明扆は短命で子供を残せないとか言われていた割には、11年で第三子!元気ですね!
春捺鉢の行宮で北方の部族長を集めた宴が開かれる。喜隱は部族長たちを前に明扆の虚弱さを強調するが、燕燕がすかさず再生儀の話で否定する。各部族長に対面した疲れから明扆は倒れ、薬を飲んでも回復しない。
11年経っても喜隱はこんな姑息なことをやっているのですね~
幽州では、冀王(敵烈)が太原を守る北漢軍への不満から、兵を南下させて北宋の郭進を討つべしと主張し、徳譲の意見と対立していた。敵烈はかねてから漢人重用の明扆のやり方に不満を抱いており、息子の蛙哥と共に出兵を強行する。
敵烈は存在感強めな兄たちを失ったことで、我こそが後継者!の自負を拗らせましたね
行宮に胡輦が到着するが、11年の歳月は燕燕と胡輦の関係を和らげ、捺鉢の後上京に同行することに。燕燕は胡輦に再婚を勧めるが、自由を満喫している胡輦にはその意志がなかった。烏骨里も呼んで三姉妹での再会を果たすが、燕燕はそんな場でも体調を崩した明扆の代わりに奏状の処理に追われる。
そういえば胡輦は、燕燕が罨撒葛を矢で射殺したことは知らないままですよね…
北漢からの急報で南朝の北伐のため援軍を要請してきた。徳譲も、敵烈と耶律沙将軍の出兵を知り、守りを固めて南朝の急襲に備えることに。明扆と燕燕はまだ敵烈の出兵を知らず、援軍で消耗するよりも南朝軍の疲弊を待つべきだと判断する。喜隱は烏骨里から南朝の北伐の話を知り、好機と見て明扆に出兵を嘆願するが、やんわり断られる。
敵烈にしろ、喜隱にしろ、無能の将ほど闘いたがる法則、あると思います♪
徳譲は急ぎ敵烈の出兵を行宮に知らせるが、使いは途中で殺されてしまう。徳譲のもとには、敵烈から援軍を求める瀕死の兵がたどり着く。徳譲は敵烈の無能と南朝の謀略に憤るが、なんとか幽州を守るしかないと決意する。
これは大ピンチ!こんなことなら喜隱も出兵させれば一気に片付いたのに、とか…
第35話「皇后の親征」
徳譲には幽州を守り切ること以外に選択肢はなかったが、すでに限界を迎えていた。北漢が南朝に投降したため、援軍だけが頼みの綱となり、徳譲は烏雲蓋雪にすべての思いを託し、再度援軍の要請を送り出す。
烏雲蓋雪も他の人を乗せる程度には丸くなったのですね。頑張れ烏雲蓋雪!!
烏雲蓋雪は燕燕のもとにたどり着き、精魂尽き果てて倒れる。燕燕は幽州の危機を知り、明扆の反対を押し切って親征を決意する。明扆は後から燕燕の出兵を知って愕然とする。
徳譲は燕雲台で孤軍奮闘していたが、ようやく燕燕の援軍が駆け付ける。徳譲は一命をとりとめ、駆け付けた李思は燕燕を部屋から追い出す。幽州の行宮で、燕燕は肖古に扮して徳譲に助けられた昔をしみじみと思い出す。
燕燕が身重をおして親征するほど大事なのは、徳譲もだけど今は遼という国なのだということを、明扆にはわかってほしいのですが、多分わかってはもらえないのでしょうね…
回復した徳譲は、燕雲台で燕燕に援軍の感謝をしつつも「来るべきではなかった」と言う。燕燕は徳譲に上京に戻るように命じるが、徳譲は幽州を守らなければと断る。燕燕は援軍として駆け付けた休哥の負傷を見舞うが、休哥は燕燕に付き添っていた蕭海瀾が今回の功労者・蕭討古の娘と知る。
ふたりで12年ぶりに登る燕雲台ですが、あの髪の束はあのままあるのでしょうか
燕燕は戦死した敵烈の敗走した配下を罰した以外は、幽州を守った徳譲とその配下、そして援軍で戦った休哥と斜軫に褒賞を行う。しかし敵烈の妃・夷蘭は徳譲が夫の窮地に出兵せず見殺しにしたと訴え、徳譲の死罪を願い出る。
夷蘭は酷い逆恨みですが、理屈ではなく恨みをぶつける場所が必要なだけなのでしょう
燕燕は徳譲に幽州の街を案内してもらうが、漢人に対し契丹貴族が横柄な態度をとっているのを見かける。幽州での訴訟はどれも漢人と契丹人の争いによるもので、漢人には唐の法、契丹人には契丹の法を適用したために起こる不平等が影響していた。税制も漢人と契丹人では不平等があり、燕燕は新しい法に刷新すべきだという徳譲の意見に賛同する。
城門であんなに死闘があっても、街は変わらず賑わっているのですね♪
海瀾は、街で斜軫が妓楼を探しているのを見かけて軽蔑する。そうとは知らず、狼藉者をこらしめた海瀾を見て、斜軫は感心して話しかけるが、頬を張られてしまう。斜軫は海瀾に一目惚れし、休哥に助けを求めるが、真剣にとってもらえない
休哥が奥さんをどう惚れさせたかという話は、ぜひ聞きたかったです!!
第36話「改革への扉」
燕燕は奏上された徳譲の奏状が遼の現状を言い当てていると賛同し、上京で改革を行うべきだと言うが、徳譲は改革により発生する抵抗に備えるべきだと答える。幽州に駆け付けた明扆は、徳譲の前で燕燕の懐妊を気遣ってみせる。明扆は徳譲に上京で改革を行うよう説得するが、徳譲は返答を保留する。
そういえば、ここまで燕燕は妊娠について徳譲に言ってなかったのですね
久々の夫婦水入らずで、明扆は燕燕の無事を喜ぶ。燕燕は徳譲に聖旨を下して上京に戻すべきと訴えるが、明扆はかつて「二度と徳譲の望まぬことを強いたりしない」と誓っていたのだ。そんな中、李思が燕燕を訪ね、上京行きに反対の思いを訴える。しかし燕燕は「上京こそが徳譲のいるべき場所だ」と李思を追い返し、李思のことを「愛にとらわれるだけの女子だ」と言う。二人の話を盗み聞きしていた明扆は、燕燕に徳譲の説得を約束する。
初めて出会った時の燕燕と李思を思うと、燕燕のあまりの変化に切なくなりますね
明扆は徳譲をお忍びで訪ね、「皇后を得たが
燕燕
を失い、
韓殿
を得たが
徳譲
を失った」と悔やむ本心を打ち明け、今後常に味方になると説得する。徳譲はその説得に応え上京行きを了承する。明扆の来訪を知った李思は密かに様子を伺うが、夫の決断に涙する。
皇后を得たが
燕燕
を失ったという明扆の本音は、今更それを言いますか?という…
保寧11年、韓匡嗣は総帥の任を受け、耶律沙・休哥と共に南朝軍追撃に出ることに。戦闘経験の少ない韓匡嗣に不安を感じつつも、徳譲は上京に戻り南院枢密使に任じられる。虎古と喜隱がその人事に異議を唱えるが、燕燕に一喝される。喜隱は虎古を始めとする皇族の長老を集め、明扆への不満と、韓徳譲を倒そうという意見の一致をみる。
喜隱や虎古を始め、このメンツはいつも不満ばっかり言っていますよね~
李思は医師に診てもらうが、貧血と肝の不調で子宮が冷えており養生が必要と診断される。李夫人は娘が上京に戻って来たことを喜ぶが、徳譲と李思の間に子供ができないことを案じ、余り思いつめないでと李思を元気づける。
中国時代劇でたまに出てくる「子宮が冷える」という症状はどういうものなのでしょう
幽州の耶律沙から「韓匡嗣は独断で敵地に深入りし、降伏を偽った敵に大敗」、南朝の皇帝を逃がしたとの急報が入り明扆は落胆する。それを聞きつけた反・徳譲の長老たちが韓匡嗣の責任を問い、死罪を要求するが、明扆は公正な処分を約束して追い返す。一方で徳譲は父の罪をかぶるとして、開皇殿の前で跪く。
韓匡嗣の超似合わない鎧姿を見た時から、そんな気はしていました…
韓匡嗣の死罪やむなしと考える明扆に、燕燕は理由を問うてから判断すべきだと韓匡嗣を擁護し、二人は言い争いになる。燕燕は「韓家の立場を盤石にすることを急ぐあまり、経験の浅い韓匡嗣を総帥に任じて今日の局面を招いた」と批判し、明扆は激高して寝付いてしまう。悩んだ末、明扆は韓匡嗣の職を解き、幽閉する聖旨を下す…
燕燕の言っていることが正論過ぎるので、もう少し妻としての優しさが欲しいのでしょうけれども、そういう「皇后」を望んだのは明扆自身だという逃げ場のなさが悲しいですね
34~36話の感想
11年が経過して、明扆の改革に文句言っている顔ぶれが全然変わってないようにも思えますが、罨撒葛が上京に戻されてすぐに事を起こしたことに比べたら、喜隱は何もできずに11年手をこまねいていたのですね。
しかし11年の歳月は結構人々の心に変化をもたらしているようで、ことに明扆が11年経ってスーパー摂政皇后となりつつある燕燕に対し「コレジャナイ」感を持ち始めているようです。燕燕に強大なる皇后であるように求めたのは他ならぬ明扆なのに、「燕燕は燕燕のままであってほしかった」と、明扆だけは思ってはいけないと思うのですよ。しかもそれを徳譲にボヤきましたからね…。仲良しアニキの徳譲と、ヒマワリのような笑顔の燕燕に囲まれて明君として君臨する自分という図式は、燕燕と徳譲を引き裂いた時点でもうかなわない夢なのに、今更それを言うか?と思わずにはいられません。明扆がいつまでも疑ってモヤモヤを抱えているのは自業自得ですよね!身を削って幽州を守った烏雲蓋雪に謝ってほしいくらいです♪
あと、11年経った胡輦はしっかり立ち直って、斡魯朶を率いて北を守る女首領としての貫禄が出てきたように思います。燕燕とあんな形で別れたのに、笑顔で再会できる胡輦は本当に大人だと思います。燕燕が胡輦に再婚するように二度も勧めていましたが、契丹では女子の再婚はアリなのですね。漢人だと「二夫にまみえず」の傾向が強いので、何か新鮮な感じがします。それと、契丹は皇帝以外基本「一夫一婦制」だそうです。だから妻帯者の休哥は蕭海瀾に興味を示さず、漢人家庭の徳譲は子供ができないと側室の心配をされてしまう、という違いがあるわけですね。
そして今回の韓匡嗣のやらかしは、敗戦の経緯もそのまま史実に沿っていますが、これに先立って南朝(北宋)と交渉した虎古が、南朝は北漢を収奪するだろうと進言したのに、韓匡嗣が反対したという話が残っています。虎古より政治家としても武官としてもお粗末だったのか、漢人として敵に共感してしまったのでしょうか。韓匡嗣を任じたのは、完全に明扆の采配の失策であり、これに喜隱が黙っているとは思えません。
というか、喜隱が11年間我慢していたのが奇跡なので、そろそろ何か動き出すのではないでしょうか。いまだ帝位の夢を諦めきれない喜隱に、李胡の呪いの強さを思い知らされます。遼の不幸は大体において述律太后が全部悪いように見えますが、きっと気のせいです♪