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クルミットです♪
張妼晗の娘・瑶瑶までもが亡くなったことで、趙禎は生母への自分の不孝のせいかと追い込まれますが、さらに徽柔と最興来が疫病にかかったことが判明します。そうとは知らない朝臣たちは政争に明け暮れ、傷ついた趙禎の心をえぐることに…
跡継ぎである最興来が危機に陥り、趙禎はますます自分の不孝が招いた事態だと追い詰められますが、その行動がさらに朝臣たちの非難を招くことになる悪循環です。それぞれの思いがどんどんすれ違って、どこへ向かっていくことになるのでしょうか。
【孤城閉-こじょうへい】(ネタバレあり)
第40話「父の思い母の思い」
苗心禾は、趙禎からの立太子の使いを「皇太子に立てなくていい、幼い最興来を民の代わりに苦しませたくない」と追い返していた。曹丹姝がなだめようとするが「この子は民の苦しみを背負う聖君ではなく、私の息子」と聞き入れない。曹丹姝は徽柔の発熱を伝え、徽柔には苗心禾の代わりはおらず、趙禎にとっても特別だと訴える。
苗心禾は極限状態ですが、誰もどうすることもできない…
梁懐吉の友人の宦官・張承照は翔鸞閣の周囲で賈玉蘭を探していて許蘭苕に声をかけられ、夏竦の使いだろうと「二つの処方を渡して」と頼まれる。
梁懐吉と仲が良かった張承照ですが、夏竦の手下になっていたのでしょうか
王拱辰は巷の小報で「売名」と指摘されたことで荒れ、薛玉湖が訴えようとするのを止め、話の元は邸報で、自分を侮辱する絵まで添えられていたと泣き崩れる。夏竦も小報を見て、かつて王拱辰が自分の左遷を訴えた恨みを晴らせて溜飲を下げる。そこに夏竦の息子が楊懐敏との連絡に張承照を後宮に遣わしたところ、許蘭苕からの密書が来たと知らせてくる。
夏竦の息子も父親に似て、くせ者っぽいですね
趙禎は鐐子に、ずっと一緒に育ってきたため張茂則が皇后に好感を持っていることに気付いていると語る。鐐子たちも趙禎が皇后を軽視していると思いこみ、皆で皇后とその位を守ろうとしているが、趙禎は曹丹姝が完璧だと知っている。一方で張妼晗は過ちばかり犯しており、皆も張妼晗の失態を望んでいるため趙禎が守らなければいけないのだという。最興来が回復したら、皇太子に冊封して曹丹姝から勉学や礼儀を指導してもらえば、周囲の者は皆満足するだろうと趙禎は考えていた。
趙禎はそれが正しい考えだと思っているのでしょうが、突っ込み所満載です…
賈玉蘭には宮中から、疫病のためしばらく帰還するなとの通達があった。夏竦は密書から知った最興来と徽柔の疫病罹患を明かし、それを八大王に知らせたため、八大王は晏殊への報復で皇宮に向かったという。夏竦は石介を頌詞の件で恨んでいたため、晏殊を抑えて石介の流刑を提議すれば意見が通ると目論む。その頃八大王は福寧殿に到着する…
賈玉蘭は夏竦のどこがよかったのでしょう。若い頃はマシだったのでしょうか?
董秋和は看病に追われる曹丹姝に、気を静める香で労わる。最興来はこの二晩がヤマと見られたため、曹丹姝は起きて付き添うことに。董秋和も、側で少しでも学ぼうと考え、その尊敬を曹丹姝はまるで廟の菩薩のようだと評する。そんな時、最興来の容体が急変する。その頃、八大王は太后批判を「最後の上奏」だと訴える。趙禎は話を打ち切ろうとするが、八大王は最興来の疫病が生母への不孝のせいだと訴えたため、たまらず席を立つ。そこに張茂則が最興来の死を知らせ、趙禎は母が不孝を恨んで最興来を連れて行ったのかと呆然とする。
八大王は節目節目で趙禎に呪いをかけてくる存在になってしまいましたね
任守忠はこの非常事態に箝口令を敷く。趙禎は苗心禾の側に行こうとするが、曹丹姝が感染の恐れがあるとそれを引き留め、両親を呼ぶ徽柔のもとへと促す。徽柔が疫病ではないとは言い切れないが「陛下には多くの臣下がいるが、趙禎には徽柔しかいない」との思いからだった。そんな中、張茂則は「八大王がどこから皇子の病を知ったのか」と疑問を抱く。
さすが張茂則、その気付きナイスです!
徽柔について、掌院は「疫病ではなく熱毒は消えた」と診断を下すが、熱は下がらず痙攣が続いたため、趙禎は「いつ回復するのだ」と当たり散らし、「李用和(生母・李蘭恵の弟)の加封を命じる」と昇格の詔を出すよう命じて、梁懐吉を困惑させる。
母や李家への孝行を重ねても、何か事態が改善するわけではないことに気付いて~
欧陽修は李用和の昇格とその息子・李璋が官職を授かったと知り、晏殊に中書省には不適格な人物だと訴え、過去の晏殊の言葉を持ち出して言い募り、聞きつけた夏竦に皮肉られる。かつて晏殊は、太后が無能な張耆を引き立てようとした際に反対したが、宰相となった今はその剛毅を失ったのかと欧陽修に迫られ、晏殊は話を逸らそうとする。しかし賈昌朝が的外れな答えを返したため、欧陽修は毒気を抜かれてしまう。
張耆の話は2話で出てきました。趙禎は晏殊が太后をやり込めたと聞いて喜んだのです
徽柔は粥を口にするようになり、趙禎に砂糖漬けをねだるほどに回復していた。徽柔は疲れ果てた父に休んで欲しいと言い、いまや自分が母を支えなければいけないことを理解していた。その父子の様子に、梁懐吉は涙をこらえる…
徽柔は我儘公主ではなく、ちゃんと人を思いやれる部分を持っているのですよね…
第41話「母への償い」
趙禎は、最興来のために作りかけていた虫籠を編み、幼い亡き息子に思いをはせる。そこに李用和の来訪が告げられ、生母に「誰が何と言おうと李家に至高の栄誉を与える」との決意を語る。せめて徽柔は自分の手元に残したいとの思いが今の趙禎を支えていた。李用和は息子の李璋と李瑋を連れてきた。身に余る宰相の位を得たことに恐縮し、姉と生前に「できる限り陛下に迷惑をかけないのが最良の道」と話したことを明かし、退官を申し出る。
李用和はいい人なんですよね。以前出てきた妻は下品だったのが残念なのですが…
李瑋は相変わらず不器用で、趙禎はそれを見て久々に笑顔を見せ、李瑋にも官職を授けようとする。李用和は愚鈍だからと辞退したため、代わりに褒美を授けようと希望を聞くと、李瑋は「もう一度徽柔に会いたい」と言う。李瑋は贈り物に徽柔の好物の砂糖漬けと礬楼で買ってきた貴重な蜜を持参し、会って渡したいという。趙禎は徽柔への真心に感動し、今は風邪で会わせられないが、今年の宴では李瑋の隣に座らせることを約束する。
李瑋は多分徽柔の好みではないと思うのですよね…。それと、元生のおかげで礬楼が持ち直したことがうかがえる話がさりげなく挿入されているのが嬉しいですね♪
晏殊に頼まれた張茂則は石介の家に皇城司を遣わし、偽の皇城司を連行したため、人々の石介への疑惑が晴れることに。張茂則が自宅に籠っていた石介を訪れると、石介は自分が偽者に見張られていたと知って驚愕する。張茂則は晏殊からの伝言「剛、極めて折れやすし」を伝えて帰っていく。一方、張茂則の動きを知った夏竦は、もしや陛下のご意向か?と疑う。
石介の弱り様を見ると、もう少し早く誰かが手を差し伸べて欲しかったです
張茂則は、枢密院勤めのはずの張承照が後宮にいたため問いただすと、相部屋の梁懐吉が戻らないためだと言い訳したため釘を刺して帰らせる。そして当直の名簿から、疫病の情報を漏洩したのが許蘭苕ではないかとの疑惑を抱くが、まだ確信は持てない。
張茂則だけが違うサスペンスドラマを構築している感じですね
趙禎の司飾・顧采児が疫病から回復せず、代わりに董秋和が呼ばれたと聞いた曹丹姝は、慌てて福寧殿に向かう。曹丹姝は趙禎に司飾の新任について胡月薇を推薦するが、趙禎は「董秋和が自分に侍ることを嫌って止めたのでは」と考える。曹丹姝は、董秋和が司飾になったら皇宮を出られなくなることを阻止したいが、その事情を趙禎に説明できない。
繯児の時といい、趙禎に言えない事情が曹丹姝の立場を悪くするのはつらいですね
董秋和が曹丹姝のもとに駆け付けると、曹丹姝は「あなたは司飾にならずに済むが、その代わり陛下が疑いを抱いたためにすぐには皇宮から出せない」という。趙禎は曹丹姝の様子を聞くために董秋和を召し、曹丹姝の近くには董秋和のようなものが必要だと、曹丹姝の身の回りを管理せよと命じたのだと言う。董秋和は「陛下は皇后様を想っておいでです」と趙禎の思いを伝える。曹丹姝は自分が愛されていないと誤解し、趙禎を警戒したことに気付く。
この遠回り夫婦が、今回のことで少しは分かり合う方向にいけばいいのですが…
石介はその後持病で亡くなり、欧陽修はひとりその墓碑の前で「慶暦聖徳頌」を賞賛しながら、この先どんな目に遭っても、范仲淹と富弼、石介のために声を上げ続けようと誓う。
石介はあのまま亡くなってしまったのですね。名誉が回復されたことが救いでしょうか
そして欧陽修は范仲淹たちの無実と、無能な外叔(李用和)を抜擢したことの批判の奏状を毎日毎日届け、趙禎を呆れさせる。賈昌朝は「晏殊がこの件については無言のため捨て置けばいい」というが、それでも夏竦は新党の復権を憂慮し、賈昌朝に「欧陽修の姪と使用人の密通」事件の調査を依頼する。欧陽家は訴えを取り下げさせようと役人に賂を送ったという。
夏竦はいつも自分の手は汚そうとせず、周囲を使って誰かを陥れようとしますよね
宰相会議の最中に欧陽修が訴える声が邪魔し、趙禎はうんざりして下がるように命じるが、欧陽修は聞き入れない。趙禎は散会しようとするが、「凡庸な皇族を抜擢」の言葉に「それは朕を暗愚だと責めるに等しい」と激高し、趙禎は心ゆくまで欧陽修に語らせることに…
たとえ内容が正しくても、方法を間違えると逆効果ですよね…
第42話「新政の錆」
呼びこまれた欧陽修は、夏竦と賈昌朝を無視し、君子としての立場を曲げず滔滔と自説を繰り広げる。そこで夏竦は、欧陽修の姪・張氏の話を持ち出す。欧陽修が賂を使って張氏の減刑と訴えの取り下げを求めただけでなく、欧陽修と張氏は少女の頃から不倫関係にあったと暴露する。さらに姪を唆した土地の着服まで判明し、欧陽修は法に則した審理を求める。
欧陽修の自業自得ではありますが、そんなスキャンダルは朝堂に持ち出す話?
欧陽修の不倫と土地の着服の問題が審理にかけられ、蔡襄や孫甫は「奸臣に陥れられた」と訴えるが、王贄や賈昌朝がこれまでの乱れた素行を持ち出して欧陽修を非難し、夏竦は「官吏の風紀を乱す行い」だと断じる。しかし晏殊が欧陽修を庇おうとしないため、蔡襄と孫甫は擁護を求めるものの拒否される。趙禎は「朝臣たちは審理の結果に関心がなく、己の正しさを主張するだけ」と嘆き、晏殊は欧陽修の離京で決着するしかないと進言する。趙禎は伏せていた八大王の逝去を明かし、死の直前に八大王が晏殊を批判していたことが今後人々に知らされると言うが、それでも晏殊は意志を変えない。そして趙禎の危惧通り、蔡襄や孫甫たちは晏殊を「保身に走った腰抜け」と罵り、弾劾するように。
双方とももう真実がどうなのかは関係ないし、関心もないけど争うという不毛
欧陽修の離京後、義憤に駆られた者たちが八大王の忠誠を褒め称え、晏殊の弾劾の奏状が後を絶たない。まだ公表していない最興来の死を発表すれば、今度は皇族男子を迎えよとの進言になるだろうと皮肉り、趙禎はもう晏殊が「説得」に来る姿を見たくないと思う。弾劾する朝臣たちは晏殊を「狡猾」だと言うが、果たして彼は「狡猾」だろうか?そんな趙禎の思いをよそに、八大王の葬列が盛大に開封の街を練り歩く…
八大王への賛美と晏殊への非難が、まったくの的外れなのが双方にとって悲劇ですよね
晏殊は以前書いた太后の神道碑の碑文まで持ち出されて弾劾され、謝罪しながらも弁明しようとしない。趙禎は、晏殊が最大の忠誠を尽くして自分を守ってきてくれたことを理解しながらも、もはや晏殊に離京を命じるしか事態の解決を図るすべがない。そして離京を命じる理由は他にもあるとして、趙禎は晏殊に最興来の死を密かに打ち明ける。
最大の理解者である晏殊を遠ざけなければいけない趙禎の苦悩が切ないです…
夏竦と賈昌朝、王贄は、晏殊に弾劾が非常に不公平だと同情してみせ、近くにいる弾劾勢力にあてこするが、晏殊は王贄が「范仲淹と富弼の左遷」と言ったことに対し「陛下のお心あってのこと、何を以て左遷だと?何が私怨だ」と言い返す。
敵失のためなら晏殊でも利用しようという、そういうのが夏竦の勢力の嫌なところです
趙禎が苗心禾の母直伝の粥を誉めたため、苗心禾は福寧殿に作り方を教えようとするが、趙禎は「儀鳳閣の粥は儀鳳閣で食べる」と気遣いを見せ、苗心禾と徽柔を抱きしめる。儀鳳閣は趙禎にとってどこよりも心安らぐ場所であり、これからは二人を大事にしようと考える。
趙禎にとっては苗心禾と徽柔は他の妃嬪とは違い、本当の家族なのでしょうね
晏殊はお供に息子の小七(晏幾道)だけを連れて穎州に出立しようとし、見送りに来た韓琦に、都にはもう戻らないつもりだと言う。韓琦は晏殊を左遷する趙禎の考えを測りかねていたが、晏殊は「陛下にも自分たちにも頼りになる物は天下泰平だけだ」と言う。
小七は孫かと思ったら息子だそうです。後に父に並ぶ文人に成長する人物です
曹丹姝は側室の馮氏の出産や、病状が悪化している幼悟のことばかり気にしているため、董秋和は曹丹姝自身の体を気にかけて欲しいと思う。しかし曹丹姝にとっては朝臣に跡継ぎのことを責められる趙禎のことが心配でならない。董秋和は「皇后様は、この宋が陛下と一体だとわかっていらっしゃる」と、趙禎への想いと国が切り離せないのだと理解する。
本当に董秋和は曹丹姝に必要な存在となっているのがわかりますね…
韓琦は頼りの晏殊を失った後の新政に不安を見せ、趙禎の周囲から忠臣が失われることを嘆くが、晏殊は「諌官を置いてきたと同じように奸臣も置かれるだろう」と達観し、官吏として心に恥じることは何もないと言い残して船出し、趙禎に仕えた日々を思う。その後、晏殊は至和二年に病没し、皇帝は朝議を二日休止し、碑に「旧学の碑」と刻ませた。
晏殊もこれで退場ということで、人材がどんどん小者化していってるように思えます
張茂則は礬楼を訪れ、梁元生の商売が順調なのを見て喜ぶ。酒を運んできた少女が張茂則を見て驚き盆を取り落とすが、それは皇宮から姿を消した碧桃だった。梁元生によると張麗華が市場から哀れんで連れ帰ったもので、口が利けないのだという。張茂則は鋭く見とがめ、碧桃を拾ったのはいつか尋ねる。その頃、許蘭苕は華やかに装い、次の段階へと踏み出す…
碧桃の発見で、翔鸞閣に潜む悪事が暴かれていくことになるのでしょうか?
40~42話の感想
大事な唯一の皇子である最興来の逝去という事態にありながら、それを公表することができず、平静を装って政務をこなしていく趙禎の姿はあまりに痛々しいものがあります。父として夫として度重なる不幸に心がズタズタになっているのに、朝臣たちは正義を盾に権力闘争に明け暮れ、趙禎に非難を浴びせてくるのですからたまったものではありません。
この段階で、八大王と晏殊が姿を消すことになってしまいました。趙禎にとって「生母への不孝」というのは人生最大の重荷なのですが、それを趙禎に植え付けることになったキーパーソンの二人の退場は非常に大きいものがあると思います。不孝の呪縛を解くことができる人物がいるとしたら晏殊以外にはいなかったと思うのですが、夏竦の思惑が最悪のタイミングで趙禎と晏殊を引き裂くことになってしまいました。もう今の趙禎は、李家を重用することでしか災厄から逃れるすべがなく、その重用が自分の首をますます締める、という状態に陥っていますよね。
しかしこの趙禎がみまわれている災厄は、何割かが夏竦の企みによるところがあるのですが、夏竦がとりたてて謀反狙いとか大きな野望を抱いているのではなく、ちょっとした悪事がスムーズに進むように、邪魔者を左遷して仕返ししたいだけなのですよね。夏竦自身が本気で誰かを殺そうとかは決して思っていないわけで、その小さい企みが最終的に大津波になっているようです。むしろその巨悪ではない存在感が絶妙にリアルです。夏竦がかっこ悪いプチ悪党として、ここからどうあがいていくのかが楽しみですね♪