燕雲台(えんうんだい)-あらすじ-16話-17話-18話-感想付きネタバレでありで!

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クルミットです♪

暗君のもとで息が詰まるような日々を送って来た明扆ですが、その裏では着々と即位への準備を重ねてきました。簒奪の誹りを受けないように慎重を期して練られた計画のもと、黒山の行宮にて穆宗暗殺が決行され、罨撒葛の目を欺いていち早く黒山に到着した明扆は、ようやく即位にこぎつけました。

今回は明扆に出し抜かれた罨撒葛のその後と、帝位を手にした明扆が「皇后」問題に着手したことで発生する、怒涛の悲劇が描かれます。胸の痛くなるような場面の連続になりますが、しっかりと見守っていきましょう…

【燕雲台-The Legend of Empress-】(ネタバレあり)

第16話「新帝誕生」

明扆の即位に朝臣は万歳を叫び、その声は罨撒葛にも届く。女里が罨撒葛を捕まえようとするが、罨撒葛は形勢不利とみて上京に撤退する。明扆は蕭思温と徳譲に、屋質大王と協力して罨撒葛を捕縛するよう命じる。
耶律璟なら捕縛失敗の高勲と女里の首をその場で切ったでしょう。明扆の優しさが怖い

休哥が屋質に黒山での異変を知らせる。屋質は明扆が即位したのではないかとみて、罨撒葛による反乱を防ぐため、休哥に新帝即位の名目で兵権を引き継ぐように命じる。
罨撒葛は国阿輦の斡魯朶(太宗所管の斡魯朶)に到着するが、そこでは屋質が遣わした休哥が待ち構えており、罨撒葛は自分の敗北を思い知る。
携帯はおろか電話回線すらない時代に情報伝達が早い!そして休哥はカッコイイです♪

太平王府では、明扆が王府の令牌を使って黒山に向かったことが問題になるが、胡輦は令牌を盗んだのが燕燕だと気付き、明扆の即位の黒幕が父であることを察して、実家に戻って自分と娘婿を捨てるつもりなのかと問いただすことに。
胡輦の立場はつらいですよね、妹と父に裏切られているわけですから…

喜隱は満身創痍で戻り、罨撒葛の即位を予想して絶望していた。しかし明扆の即位と罨撒葛の失脚を知らされ、体の弱い明扆の後は自分が、という希望を持つ。
安只は、罨撒葛の即位によって今の状況からの脱出に期待をかけていたが、明扆の即位を知らされて愕然とする。只没は兄の即位に複雑な思いをかみしめる。
安只は残念でした♪この喜隱と只没の複雑な明暗がうまいこと配置されています

蕭思温は胡輦に、「罨撒葛は遼の未来への考えを持っていないため、即位しても先帝と同じ道をたどる」と指摘するが、胡輦を追いかけて蕭家に来た罨撒葛がそれを立ち聞きしていた。蕭思温は新帝への服従を勧めるが、罨撒葛は遼を出るために胡輦を連れ去り、蕭思温は胸の痛みに倒れこむ。
罨撒葛は、義父から自分に下された評価の正しさに、何か感じるものがあったのでしょう

胡輦と罨撒葛は南門へ向かうが、待ち構えていた達凛の兵と乱闘に。そこに到着した徳譲が明扆への服従を要求するが、胡輦が自らの命を盾に罨撒葛を逃がそうとする。罨撒葛を逃がせば遼は争乱になる恐れがあるが、駆け付けた燕燕が「罨撒葛は脅威にならない」と説き、罨撒葛は胡輦と別れ、ひとり遼を去る…
罨撒葛を逃がそうと夫婦の縁を断つ胡輦の言葉に、むしろ深い夫婦の情を感じます

多くの人の期待と思惑が渦巻く中、明扆は上京の玉座につき、即位を宣言する。罨撒葛を逃がしたことで休哥や蕭思温が自らの責任を問うが、明扆は逆に皆の功績を称え、労に報いる。蕭思温がむしろ先帝の時より慎重に振舞うことを韓匡嗣は不思議がるが、蕭思温はこれから蕭家に起こる事態を口にできない。
触る者みな傷つける穆宗が異常なので、このくらいの恩賞はむしろ皇帝として普通…

蕭家にはお祝いの客が大勢押しかけるが、沈む胡輦を烏骨里と燕燕は放っておけない。烏骨里は喜隱の禁足を解こうと蕭思温に取り入ってみせるが、蕭思温は烏骨里夫婦の抱く野心に気付き、不安を感じる。
烏骨里がわかりやすすぎるから、蕭思温も喜隱を早めに潰しておかねばと思いますよね

娘たちの代わりに達凛が蕭家の祝賀を取り仕切っており、そこに休哥と、虎古の代理で斜軫も顔を見せる。達凛が仕切る様子が面白くない蕭思温の甥・海里と海只は、達凛を追い出そうと絡み、養子狙いの魂胆だろうと非難する。それを見ていた燕燕は達凛を庇う…
この出来の悪い甥っ子たちは、なぜ燕燕が自分たちの味方をすると思ったのでしょう♪

第17話「永遠の誓い」

海里と海只は、祝いの場から達凛を追い出そうとするが、逆に燕燕から無理やり追い出されてしまう。そこにやってきた徳譲に、燕燕は周囲の目も気にせず手を取ってはしゃぐ。
この辺の蕭宰相家の跡取り問題も、今後色々モメそうですね…

明扆は皇后冊立の吉日を調べさせるが半年後だというので、先に貴妃として燕燕を娶ることに。明扆は只没を寧王に封じて婚礼の差配を任せるが、その相手が燕燕だと知り、只没は顔を曇らせる。
明扆は只没が蕭家に求婚打診したのは知っていた?只没的には超気まずいですよね♪

胡輦は、自分の嫁入り道具の中から燕燕に持たせるものを選ぶうちに、皇妃の冠を発見し、その意味を悟る。胡輦に突然怒りをぶつけられたことで、燕燕も冠を見つけ、蕭思温から自分の後宮入りを聞かされる。燕燕は必死に懇願するが、蕭思温は撤回の余地がないと諭す。
蕭思温はここで見つからなかったら、どの段階で燕燕に言うつもりだったのでしょう

徳譲もまた、韓匡嗣から燕燕の後宮入りを聞かされる。徳譲は明扆のかつての言葉が、燕燕を奪うという意味だったことに気付き愕然とする。徳譲は激怒して家を飛び出し、明扆に会って殴りつける。明扆が聖旨を撤回するつもりがないのを見て、徳譲は失望して帰り、待っていた燕燕と共に逃げて上京を離れることに。
「臣下の妻を奪うのは最低の主君」…本当にそう思います♪

胡輦は、燕燕が徳譲と逃げたことに気付き、せめて金子を渡そうとするが、蕭思温に見破られる。胡輦は自分が代わりに嫁ぐと懇願するが、胡輦が明扆に嫁げば罨撒葛が攻め入る恐れがあり、燕燕なら宮中での苦難を乗り越える強さを持っていると諭される。胡輦は父から、一家の主として燕燕を連れ戻すよう託される。
ここの会話は胡輦にとってかなり受け入れにくいものがあると思うのですが、それを無理やり納得させる、蕭思温という父親の愛と同時に、老獪な政治家の凄みを感じます

明扆のもとにも二人が逃げたという知らせがもたらされる。明扆は動揺したものの、蕭思温と韓匡嗣はどうするべきかわかっている、と考える。その頃二人は幽州にたどりつき、雨に降られてあばら家に身を寄せていた。遼を出たら北漢に身を寄せ、二人で生きたいように生きようと将来を語り合う。
雨が降っても先を急いだほうがよかったのではないでしょうか?

翌朝、燕燕と徳譲は燕雲台に登り、互いの髪の束を結びあって、互いに添い遂げることを誓い、「雲」の石の下に髪を隠す。しかし旅立とうとした二人の前に胡輦が立ちはだかり、蕭家の手の者が囲む。徳譲は多勢に無勢で次第に追い詰められ、燕燕と引き離され、燕燕の手には黒山に向かう前に徳譲に結んだ紫の紐だけが残される…
だから、燕雲台に登って誓っている場合じゃなかったのですよ…

第18話「愛と使命」

暴力を受ける徳譲を見かね、燕燕は家に戻ることを承諾し、徳譲は満身創痍で燕王府に戻される。燕燕は部屋に閉じ込められて「後宮には入らない」と泣き叫ぶ。
これは、引き離す方も引き離される方もつらい…

明扆は徳譲の状態が危険だと聞き、迪里姑を遣わす。燕王府では徳譲が目覚めず緊迫した空気が流れるが、やがて目覚めた徳譲は薬を拒み、迪里姑を追い返そうとする。頼りの父に「陛下を支えるべき」と諭され、徳譲は絶望の中で抵抗する。一方、燕燕も食事を拒み、胡輦の説得にも応じない。
「手加減」…乱闘シーンで刀を突き刺していないので多分そうだろうと思いましたが、手加減されたことがなんら徳譲には救いにならないわけで、韓匡嗣も言葉を選ばないと…

烏骨里のお腹は大きくなっていたが、喜隱の禁足がいまだ解けないことに苛立つ。喜隱は明扆を侮り、自分が罨撒葛の位置につけると考えていた。そこに胡輦が訪ねてきたので喜隱は期待するが、胡輦の目的は燕燕の説得だった。燕燕の後宮入りを知った烏骨里は、父が燕燕を皇后にするため自分たちを犠牲にしたと激怒する。
喜隱と烏骨里は甘く期待していただけに、シビアな現実を思い知らされましたね♪

徳譲を案じた明扆は燕王府を訪れ、二人で話そうとするが、明扆の言葉にも徳譲は心を閉ざす。薬を拒み続ける徳譲に、韓夫人は「戦いたいなら立ち上がることだ」と檄を飛ばす。ようやく起き上がった徳譲のもとに胡輦が訪れ、絶食を続ける燕燕の説得を頼む。それでも徳譲が燕燕と逃げようとするので韓匡嗣は説得を重ねるが、徳譲は諦めることができない…
こんな引き裂き方しておいて、生きろだの食べろだの、ホント無体なこと言いますよね

16~18話の感想

明扆、完全勝利です… 今のところは。
耶律璟を自分の手を汚さず殺し、自分の正統性を蕭思温たちに主張させて即位し、罨撒葛を謀反人に仕立てて排除、罨撒葛によって軟禁状態にあった喜隱を放置し、あれよあれよという間に即位後の混乱をおさめてしまいました。これまでが気まぐれキラーの暗君でしたから、普通に優しく論功行賞をちゃんとしてくれるだけで、超!明君に見えるマジック。
でも、「どうせ長くはないだろう」と、明扆の優しさを侮る勢力が発生してくるわけで、そういう者たちをどう抑えていくかが今後の課題になりそうです。

しかし胡輦にとっては、自分の父が明扆の即位を助け、夫の失脚を目論んだと知ったことはかなりのショックだったと思われます。罨撒葛との別れのシーンの胡輦の気丈さは、なかなか心を打つものがありました。
それなのに… 父が明扆の皇后として燕燕を後宮入りさせようとしているというのは、胡輦にとっては二重三重の衝撃だったのではないでしょうか。色んな気持ちのない交ぜになった胡輦を「お前は家を守るのだ、皇后になるより大事なことだ」と説き伏せた、蕭思温の説得力はかなり狡いと思いました。胡輦ならそこで飲み込んでくれるという計算があったと思うのですよね… 胡輦という存在があったからこそ、明扆の即位が守られたと言っても過言ではないと思います。

そして燕燕と徳譲もまた、明扆の即位によって引き裂かれてしまうことに。
明扆が徳譲に、燕燕を奪っても今まで通り変わらずに仕えてくれ、お前が必要だと言いに来るあざとさ。いやいや、それありえないですから♪ 徳譲の周囲は皆「大業のため」と一番大事なものを力ずくで諦めさせ、望まぬ未来を生きろと言うのです。あんまりです。
大業、大業って、大業がそんなに大事なのか?大業がナンボのモンじゃ!!
と、思わず明扆の三つ編み(即位して髪型変わりましたね)をつかんでぶんぶん振り回したくなる衝動にかられます。

諦めるしか選択肢はないと知っていても、恋する二人は命がけで抵抗するのでしょう。このことはきっとこの先、明扆自身を脅かす棘となって玉座に刺さっていくのではないでしょうか。燕燕の失われた笑顔がいつか戻ってくるのを祈らずにはいられません…

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