孤城閉-こじょうへい-あらすじ-55話-56話-57話-感想付きネタバレでありで!

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信頼していた賈玉蘭を失い、抑える者がいなくなったことで張妼晗は暴走し、伯父の張堯佐の宣徽使就任を趙禎にねじ込んだことで、趙禎と張妼晗の関係にも微妙な変化が訪れます。そして張妼晗の我儘を許す趙禎に、望まぬ縁談を強いられる徽柔は反発することに…

張妼晗と徽柔の縁談と、趙禎にはストレスの多い状況が続き、とうとう跡継ぎのいないまま健康面に不安が噴出する事態が発生します。これまでの事件の数々がベタ凪に思えるほど、畳みかける緊迫した状況になりますので、覚悟して見ていきましょう…

【孤城閉-こじょうへい】(ネタバレあり)

第55話「最後の輝き」

趙禎は都に復帰した韓琦との再会を喜び、地方での功績をたたえる。韓琦も地方に赴任したおかげで政策の実行を目の当たりにできたことを感謝する。
趙禎の気持ちを分かってくれる文人たちが少しずつ復活しているようですね

趙禎の誕生日の宴。張妼晗は遅れて姿を現したものの、趙禎が禁じた灯籠錦を着ていることに妃嬪はざわつき、灯籠錦を贈って左遷された文彦博の夫人はいたたまれない思いをすることに。曹丹姝は体調が良さそうだとねぎらうが、張妼晗は世辞がうまいと返す。
張妼晗の遅刻&わざとタブー服、というのは毎度の様式になりつつあるような

徽柔は宴で箜篌を披露するため梁懐吉と練習していたが、そこに曹評が現れる。徽柔は直接答えず、梁懐吉を通して「成長した男女の別もあり、礼儀にそぐう行動をとるべき」と伝えるが、梁懐吉は「公主は教坊の女子とは違う」という部分を伝えず、みっともないと省いたのだろうと徽柔は腹を立てる。徽柔は曹評と教坊の盧穎娘が合奏していたのを忘れられずにいたが、そんな自分の醜い一面を見せるのも梁懐吉だけだという。
梁懐吉の判断はナイスだと思いますが、そのまま伝えて遠ざけてもよかったかも?

宴に到着した趙禎に、張妼晗はわざと灯籠錦の件に触れ、文彦博が趙禎に奉って忠心を示そうとしたのだと言う。そして誕生祝に灯籠錦で趙禎の目を楽しませようとしたと言うが、趙禎は「贅沢なので今日を最後にもう着るのはよせ」と諭す。
趙禎のやんわりとした否定が、張妼晗にとってはショックだったのではないでしょうか

梁元生は韓琦の帰京を祝って酒を供すが、韓琦はまた地方に戻るという。そこに枢密使となった狄青が現れ、部下が定州で罪を犯し韓琦に裁かれる予定のため、寛大な措置を依頼しに来たと言う。しかし韓琦は「自分は状元しか認めない」と狄青をあえて貶めて断る。
韓琦の言葉も酷いですが、官吏たちの冷淡な態度も狄青のポジションを感じさせますね

徽柔は趙禎の前で箜篌を見事に弾きこなす。すると李瑋の母の楊氏が絶賛して喜び、更に張妼晗が徽柔の婚儀を急かして徽柔に嫌がらせをする。徽柔は退出して外を散歩していると、曹評が箜篌に笛を合わせようと待っていた。そこに雨が降り始める…
李用和は亡くなっていたのですね。曹評はどこまで本気なのやら…

文彦博は、韓琦が狄青を貶める必要はなかったのではと不快に思い、范仲淹の弟子が間違いを起こすわけがないと狄青を擁護する。しかし韓琦は狄青一人の問題ではなく、趙禎が祖法を変えたのが問題だと「狄青を敵視することで陛下を抑える」という意図を語る。韓琦は政策が実行されるのは多数が受け入れるかどうかが問題だと、新政から学んだのだと言う。
韓琦が何か、地方で屈折して変わってしまったようにも思えます

徽柔は曹評の上着で雨を避けて送ってもらう。礼を言って帰ろうとする徽柔に、曹評は「なぜあの年の重陽節の後、私を避けるように?」と尋ねて手を取り「心まであの野暮な男に縛られる気か?」と問う。徽柔はその手を振り払い「無礼者」と中に駆け込んでしまう。
着替えた徽柔は、外で曹評が笛を吹いているのに気づき、「私はこの一生をあの野暮な男に捧げるの?」とつぶやく。徽柔はせめて傘を届けさせるが、曹評がなおも笛を吹き続けようとするのを嘉慶子が「公主がつらくなるから」と止める。
嘉慶子が余計な情報を曹評に聞かせないといいのですが

宴の途中で張妼晗は席を立ち、趙禎は雨だからと気遣って輿を出させるが、張妼晗は何か言いたげな様子のまま帰ってしまう。張妼晗は雨の中、輿から飛び出し、侍女たちが止めるのも聞かず、教坊時代のように舞い続け、倒れる…。貴妃張氏は至和元年31歳で逝去。皇帝はこれを悼み、朝議を7日休止。皇后の礼で埋葬した。
なんともあっけない…そして最後の最後まで特別扱いが物議を醸すクラッシャーですね

徽柔の箜篌の稽古に、いつもの師匠の代理で盧穎娘がやってきたため、「清平楽」を弾いて教えて欲しいと言う。数年前の重陽節のことを持ち出すと、二人の合奏は偶然だったとわかり安堵する。そこに張妼晗の死が知らされ、皇儀殿で葬儀をとの進言も出ているという。
盧穎娘は悪くなかった模様?張妼晗の特別扱いは、徽柔には納得いかないでしょう

馮京と王拱辰は福寧殿の外で呼び入れられるのを待っていると、王拱辰だけが中に入れられ、馮京は戻るように促されるが引き下がらず跪いて待ち続ける。ことの推移を曹丹姝たちは後宮で見守っていたが、梁懐吉から「王拱辰の進言により張妼晗に皇后を追贈」との知らせが入り、徽柔はいきり立つが、曹丹姝は止めても無駄だとなだめる。
趙禎は、両論聞くような余裕もなくなってしまったのですね

第56話「矛盾の中で膨らむ想い」

福寧殿で跪き続ける馮京に、曹丹姝は追贈に異議はないと言うが、馮京は掟に忠実でありたいだけだと答える。そこで曹丹姝は范仲淹と初めて出会った時の言葉「礼は敬に起こり、仁に満足すべき」を引き、聖人の定めた規則や礼儀は人情を守るためのものだと諭し、馮京はようやく納得する。そこに福寧殿の扉が開き、やつれた趙禎は黙って曹丹姝と見つめあう。
ボロを着て書院の学生に貶されていた范仲淹のことが、随分昔のように思えます

徽柔は納得できず苛々していたが、そこに曹家の娘が傘を返してきたという。壊れていないか確認してほしいと言われ、傘を開き日にかざすと冷たくされたことを悲しむ詩が書かれていた。徽柔は「父が私情を捨てきれないのに」と望まぬ結婚をする自分の将来を憂う。
曹評の貴公子然とした洒落た口説きは、確かに李瑋には期待できない芸当かも…

梁懐吉が王拱辰の書いた詔の草稿を受け取ると、張妼晗を絶賛する内容となっていた。今更張妼晗のために動いても何の利益もないのではと梁懐吉は訝るが、王拱辰は「妻に良くしてくれた恩返し」であり、さらにその固い意志と執念に敬服しているのだと語る。自分はよく選択を誤るのだから、今更何も怖くないという王拱辰の姿勢に、梁懐吉は何も言えない。
張妼晗も王拱辰も間違い多き人生同士、何かが響きあったのかもしれませんね

徽柔は梁懐吉に傘を見せ、返事の詞の助言を求める。傘の詞に思わず梁懐吉は涙がこぼれ、徽柔は梁懐吉が怒ったのだと思い動揺する。徽柔が望まぬ縁談に苦しむ姿を見て、「どんなことがあっても公主の味方」と言い、自分の想いは必要ないものだと心にしまい込む。
曹評と徽柔の両思いだと知ってしまった梁懐吉の涙が、悲しすぎて心が痛いです

徽柔は国士監に行くという趙禎にお供をしたいと願い出る。趙禎は自分も前例を破ったばかりだと指摘され、強く拒めず同行を許すことに。徽柔は男装をして侍女たちと共に衝立の裏に隠れていたが、国士監の学生である曹評は徽柔の姿を確認していた。梁懐吉がふと気づくと徽柔の姿がなく、曹評も席からいなくなっていたため、密かに探しに向かう。
これは、申し合わせて逢い引きしていたのですね。簡単にバレそうなのに!

徽柔についていった嘉慶子によると、徽柔は書庫の中にいるという。その頃、趙禎もまた徽柔の不在に気付いていた。梁懐吉は書庫の中を探すと、徽柔と曹評が寄り添っているのを発見するが、同時に趙禎も二人を発見して激怒し、皇城司を呼ぼうとしたため、梁懐吉は徽柔の名節のために必死で止める。
ここで本気で曹評を捕らえたりしたら、曹丹姝にまで累が及ぶ大政変ですよね

二人の傘や文の往来が趙禎にすべて明かされ、協力していた嘉慶子は瑶華宮で労役に。梁懐吉は知っていて報告しなかったことを告白し罰を求める。趙禎は曹丹姝たちからの見返りをも疑うが、梁懐吉は「公主は曹公子がお好きで、お幸せそうだったから、少しの間だけでも幸せでいて欲しかった」と答える。しかし趙禎は徽柔に全てを与えている自負があり、自分の与える結婚により娘が不幸になることなど全く理解できない。
自分は太后に結婚を押し付けられたとか言ってきた人が、親になるとこれですよ♪

徽柔は禁足になり、苗心禾はどうしたらいいかわからず混乱していた。国舅府(曹丹姝の弟・曹佾の自宅)を皇城司が「私服で」取り囲んでいるというので、曹丹姝は「陛下は徽柔の名節のため大ごとにはしないはず」と推測する。しかし常々曹家と関係の深い趙宗実を後継者にと求められ、唯一の公主を曹評が唆したことで「陛下は曹家に疑念を抱いている」と案じる。そんな事情も知らず、徽柔は曹丹姝の口添えを期待し、曹評への罰を恐れる。
曹丹姝が恐れ、警告してきたことが全部、若い二人の軽挙によって台無しに…

都に復帰した欧陽修が趙禎の謁見を求めるが、欧陽修は「温成廟(張妼晗の墓)への行幸阻止の奏状」を手にしていた。「先帝を祀るため囚人の刑を軽くし、奉先寺を参拝するのは温成皇后(張妼晗)を供養する言い訳」との批判を耳にしたためだが、趙禎は「なぜ見逃してはくれないのだ」とぼやく。しかし欧陽修は、趙禎の行動は民の手本とは言えないとたたみかける。そこで10日後、趙禎は奉先寺を参拝したが、温成廟には入らなかった。
欧陽修も昔よりずいぶん落ち着きましたね。でも変わってはいないかも…

徽柔は禁足を命じられて以来飲まず食わずで、曹丹姝が話し「万一があれば陛下はますます曹評を憎む」と説得してようやく粥を食べさせる。曹評でなく自分を罰してほしいと言う徽柔に、曹丹姝は「私が何とかする」と言うが、徽柔は父に見捨てられることを恐れる…
徽柔はあまりに子供すぎますね。太后に生き返って徽柔を締めて欲しいくらいです

第57話「一度きりの機会」

曹佾から自身を弾劾し解任を求める奏状が届くが、趙禎は手に取ろうともせず、曹家の見張りも続けさせる。そこに曹丹姝が粥を届けに来るが、立太子を望む奏状の圧力に怒りを爆発させる趙禎に、「自分にとって一番大事なのは陛下」と訴えるが、趙宗実と曹評への疑念が趙禎から冷静さを奪っていた。曹丹姝は自分たちを疑うなら曹家一族を斬ってかまわないと訴え、趙禎は自分が何を誤ったのかと泣き崩れる。
趙禎は現時点でも、自分が何を間違ったのかわかっていないというのがなんともはや

趙禎は梁懐吉と共に徽柔を見舞うが、徽柔は李家に嫁ぐのを拒否し、「諫官に反対されても張皇后を寵愛したのに、自分と曹評の仲を裂くのか」と訴える。そこで趙禎は「名声や地位、命を捨てる覚悟が曹評にあるか?」と、曹評に徽柔との未来を選ぶ機会をやると言う。
曹評にもしすべてを捨てる覚悟があったら許すのでしょうか?そうじゃないような…

趙禎は曹評を御前に呼び「徽柔を娶りたいか」と尋ねるが、曹評は「滅相もない」と否定し、自分とは釣り合わないと怯える。趙禎はもう一度だけ「徽柔を娶りたいか」と尋ねるが、曹評は「二度と公主に会わない」と誓う。それを徽柔は後ろですべて見ていた。「生涯仕官せず、他の妻を娶らず、長子を趙姓にする」と父娘で話し合った条件を出すまでもなかったが、徽柔はそれを「父は権力で私の想い人をねじ伏せその価値を貶めた」と受け止め、「自分は負けたが父上にも勝たせない」と、曹評を潰したら自死すると宣言する。
ここで「娶りたい」と答えられる胆力のある男がどれだけいるというのでしょう

趙禎は発作を起こして倒れてしまうが、徽柔には倒れたことを伏せて梁懐吉を付き添わせ、張茂則を呼び戻すように命じる。梁懐吉は徽柔の様子を見に行くと築山から飛び降りようとしていたため引き留める。寄り添い続けて芋を焼いて差し出し「私は喜んで公主の影になります」との言葉に、ようやく徽柔の心がほぐれる。
張茂則が馬を走らせ戻ってきました!梁懐吉の真心が切なすぎますね…

新年の朝議の際に趙禎は玉座で突然倒れ、任守忠が介抱したものの一人では歩けない状態で再び倒れる。そこに戻ってきた張茂則は、趙禎のただならぬ状態に愕然とする。曹丹姝や妃嬪は駆け付けるが趙禎は意識がなく、残る手段は頭への鍼で、万が一失敗すれば失明の危険もあるが、遅れれば体に不自由が残るというので曹丹姝は施術を決意する。押さえつけて鍼を打たないと危険なので、曹丹姝と張茂則が趙禎の体を押さえているという決断を下す。
こういうことがあるから、確かに立太子は大事なのだと実感しますね

梁懐吉はずっと閉じこもっていた徽柔を励まし、ようやく皇宮内の散歩に連れ出す。しかし元旦だというのに皇宮内が静まり返っていたため、徽柔は異変を感じて宮女に尋ね、趙禎が病で倒れたと知らされ父のもとへ駆け付ける。
徽柔が責任を感じて、縁談を受け入れる流れが見えてきたような…

頭への鍼で意識が戻った趙禎は、張茂則の帰還を命じたのを忘れ、曹丹姝の差し金で張茂則を呼び戻し自分を殺そうとしたのだと疑い錯乱する。そこに曹丹姝が呼んだ富弼と文彦博が現れ、趙禎は「皇后と張茂則が謀反を企んだ」と二人に訴える。それまでの状況を知らない富弼と文彦博は曹丹姝に疑いの目を向け、侍医や宮女たちに聞き取りを行うが、病によるうわごととわかる。徽柔は騒ぎを見て自分が脅したせいだと責任を感じて中に飛び込む…
文彦博は夫人が張妼晗派でしたから、曹丹姝には簡単にこういう目を向けるわけです

55~57話の感想

今回の趙禎は、突然の張妼晗の死と、徽柔の逢い引き問題で心身ともに追い詰められ、ようやく実を結んだ曹丹姝との信頼関係を自らの手でぶち壊してしまいます。張妼晗の死はあまりに突然でしたが、自分が望み相手から望まれ、愛情と真心だけでつながった存在だった張妼晗には、「寵愛」だけでは言い表せない特別な想いがあったのだと思います。それだけに、趙禎は失ってから後悔してやりすぎるのですよね。
かつて太后は苗心禾に対して「皇后を敬い重んじ従うことを皇后とその周囲に信じさせよ」「陛下を頼りにはするな」と宮中に入る心構えを説きましたが、張妼晗はそれとは真逆なやり方で寵姫になったのですよね。そのマイペースを貫いた強さを王拱辰は尊敬すると言っていましたが、そう評価するのが王拱辰だけというのがちょっと物悲しいです。

そして、父の張妼晗寵愛の「掟破り」に反発した徽柔が、曹評と逢い引きを強行し、あっさり発見されて仲を引き裂かれることに。趙禎としてはほら見たことか、徽柔を守る気もなくあっさり引き下がっただろうと言いたいところでしょうが、皇帝があんな最大級の圧をかけたら、たとえ百戦錬磨の武将でも縮み上がると思います。それにしても、徽柔の縁談の件に関しては、このまま進めても誰も幸せにはならなさそうですよね。

そのゴタゴタの心労が重なって、趙禎が倒れてしまったのですが、後継者を立てないまま皇帝が崩御してしまったら王朝断絶の危機です。それがあるから、やれ養子をとれ立太子しろと朝臣は諫言を続けてきたわけで、趙禎自身が一番わかっているからこそ、誰かにその原因を求めたい気持ちが働くのでしょう。だからといって一番信頼しているはずの曹丹姝と張茂則に謀反を疑うというのはあんまりです。趙宗実と高滔滔の婚姻の際に「陛下と皇后さまが姻戚に」という言葉に張茂則が複雑な表情を見せていたのは、このせいなのですね。
曹丹姝が最初から普通に寵愛されていたら、こんなことにはならなかったのかもしれません。色々な歪みがまわりまわって噴出しているようです…

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